GTX1060でSLIを有効にする方法がある

Linus Tech Tipsの「Hacking Nvidia’s Drivers!」を見てたら、出力端子を持たないマイニング用のビデオカード「GTX 1060」をオンボードグラフィックを持つマザーボードでそのGPUを有効にする方法と、GTX 1060をSLIで動作させる方法を紹介してました。

海外のSLIに関するforumで、TechPowerUp Forum「SLI with different cards」と言うスレッドがあるのですが、そこに詳細が出てました。

GTX 1060をSLIで使う場合は、WindowsのSystemフォルダにある「nvlddmkm.sys」をDifferent SLI Autoのフォルダーにコピーしてきて、16進数エディタでアドレス00000000002BB52Fを、75 05 0F BA 6B 24 0EからC7 43 24 00 00 00 00に書き換えるものです。

ドライバーのバージョンは、417.35と417.71です。

nvlddmkm.sysを書き換えた後は、セーフモードでWindows10をセーフモードで起動して、Different SLI Autoでディスプレイドライバーを入れ直して、再起動するようです。

詳しくは、Linus Tech Tipsの動画かSLI with different cardsにあるリンクを参考にしてください。

GTX 1060を二枚持っていないので試せてはいないですが、RTX 2060がリリースされたので、GTX 1060は値崩れしてくると思いますのでチャンスがあれば試してみたいです。

Gemini3 Flashによる検証です。


この内容について、技術的な検証、補完、および推奨されない理由(リスク)を解説します。


1. 技術検証:なぜこれが可能なのか、または不可能なのか

  • ハードウェアの制限: GTX 1060には物理的な「SLI端子(ブリッジを接続するコネクタ)」が存在しません。通常、Pascal世代(GTX 10シリーズ)ではGTX 1070以上でなければSLIは物理的に構築できません。
  • ソフトウェアによるエミュレーション: 記事で紹介されている「DifferentSLI Auto」という手法は、ドライバファイル(nvlddmkm.sys)を書き換えることで、PCI Expressバス経由でデータを転送させ、物理端子がないカード間でもSLI動作を擬似的に実現しようとするものです。
  • 再現性: 2019年当時の特定のドライババージョン(417.xx)では動作報告がありましたが、現在のWindows 10/11や最新のドライバでは、セキュリティ機能(ドライバ署名の強制やカーネル保護)が厳格化されており、この手法をそのまま適用するのは極めて困難です。

2. 内容の補完:現在の視点からの補足

この記事の内容を今の環境で理解・実行しようとする場合に欠けている視点は以下の通りです。

  • ドライバ署名の強制解除が必要: Windowsは通常、改造されたドライバ(署名が一致しないファイル)のロードを拒否します。実行には「テストモード」への移行や署名の強制無効化が必要ですが、これはシステムのセキュリティを著しく低下させます。
  • マイニング用カード(P106-100等)の活用: 記事内にある「出力端子がないGTX 1060」とは、マイニング専用のP106-100を指しています。これをゲーム用として使う手法は一時流行しましたが、現在は「IntelのiGPU経由で出力する」というDirectXの標準機能(ハイブリッドグラフィックス)を利用するのが一般的であり、SLI改造とは別の話になります。
  • SLI自体の衰退: 現在、NVIDIA自身がSLI(プロファイル配布)を終了しており、最新のゲームはSLI構成を想定して最適化されていません。2枚に増やしてもパフォーマンスが向上しない、あるいは逆に下がるケースが多いのが現状です。

3. 検証:なぜ推奨されないのか(リスクとデメリット)

この手法を試すことは、以下の理由から全く推奨されません。

  1. OSの不安定化(ブルースクリーン): カーネルドライバ(nvlddmkm.sys)をバイナリエディタで直接書き換える行為は、OSの根本的なクラッシュを引き起こすリスクが高いです。
  2. セキュリティリスク: ドライバ署名の検証を無効にすると、悪意のあるマルウェアがシステムに侵入しやすくなります。また、古いドライバ(2019年製)を使い続けることになるため、最新の脆弱性に対して無防備になります。
  3. 対費用効果の低さ: GTX 1060を2枚動作させても、現在のミドルレンジカード(RTX 3060や4060単体)1枚の性能に遠く及びません。電力消費と発熱だけが増え、実用的なメリットがありません。
  4. アンチチートソフトとの競合: 『Apex Legends』や『Valorant』などのオンラインゲームでは、改造ドライバや署名なしドライバを使用していると、不正ツールと見なされてアカウントがBAN(永久停止)される可能性が極めて高いです。

結論

この記事に書かれている内容は、技術的な「実験」としては非常に興味深いものですが、実用的なアップグレード手法としては完全に過去のものです。

  • 検証結果: 当時は一部で成功例があったが、現在は動作環境の構築自体が困難。
  • 推奨しない理由: セキュリティの欠如、最新ゲームへの非対応、BANリスク、そして何より単体で高性能なカードを買う方が安くて速いため。

もしグラフィック性能を上げたいのであれば、古いカードのSLIを試みるよりも、現行世代のグラフィックボードへ買い替えることを強くお勧めします。